バカな頭で考えた!

ガリと新幹線

「くらげとあの娘」山形特別先行上映から
戻って来ました。
少しだけぼんやりしています。

山形へは東京駅から新幹線で向かった。
改札で主役の宮平くんと派谷さんと合流して新幹線のホームを歩いていると
突然背後で派谷さんの大きな叫び声がした。
振り返ると転倒した派谷さんと心配そうに見守る宮平くん。
「これですべったんです」と言う派谷さんの足下を見るとピンク色のかけらが落ちている。
ガムかなと思うとそんな粘り気はなく、そもそもガムじゃすべらない。更に顔を近づけて見る。
ガムじゃなかった。ガリだった。
そこは弁当売り場の前。
なるほど。
なるほどじゃない。
弁当売り場の前だからといってガリが落ちてる理由にはならない。
こんなことがあるのか。僕は未だかつてガリですべった女を知らない。
むろん男だって知らない。
そしてこれからもガリですべって転ぶ人を目撃することが死ぬまでにあるだろうか?
そんなことはないだろう。そんな気がする。あるかもしれないけど多分ない。
もってる。
もってる。という言い方はいつからするようになったのか知らないけど、
そして今この言い回しをするのは時代遅れなのかもしれないけど。
いいさ俺はどうせ時代遅れな男。
もってるな派谷さん。
そう思った。
派谷さんはひねった足を引きづり「信じられなーい」とショックを隠せないで
いたけれど、もってる派谷恵美はガリで見事に転んだ。ガリで転んだ女優がそこにいた。
そんなもってる派谷さんはこの映画のヒロインに選ばれるべき人だったんだ。
と山形へと向かう車窓を眺めながらそう思った。
と、目の前に座る宮平くんが「新幹線って遅いんですねー」
聞けば沖縄生まれの宮平くんは飛行機ばっかり乗ってて新幹線に乗るのは3回目くらいだそうだ。
「もっとぐっと加速するのかと思ってたのに」と不満げな宮平くん。
新幹線の加速に文句をつける男に会ったのも初めてだ。新幹線はこんなもんだよ。こんなスピードでいいじゃないか宮平くん。俺はそう思うよ。

山形ついてからはテレビラジオ新聞雑誌でいろんなことを聞かれて、この主役の二人の
印象を聞かれたりもしたけれど。こんな二人だから選んだのかなぁなんて思った。

インタビューでは同じことを何度も聞かれるので答える方も段々うまくなっていく。
大人な女優な感じで派谷さんもインタビューに答えていく。そんな派谷さんの声を聞きながら、でもこの人
ガリで転んだんだよな、って内心思った。けど、それは心の中の声で口には出さなかった。
派谷さんに触発されたのか宮平くんもいい事言おうとする。けれど元来口べたな新幹線の加速に
不満を持つ男。そこはうまくいかないのがご愛嬌。いいこと言おうとしなくていいよ宮平くん。
でも伝わるよ宮平くんの気持ちは。そんな気持ちでこの「くらげとあの娘」の主役を見守った。
ガリで転んだ「あの娘」と一緒に。

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