宮田宗吉のブログ > ぶろぐ
金沢で毎年こどもが三日間で映画を撮る「こども映画教室」という企画があります。
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僕は東日本大震災のあった2011年に我らが冨樫森監督が講師をやった年に僕も助手として手伝いました。三日間でシナリオ作り、撮影、編集、上映まで行うものです。
その時のことはここのブログでも書きました。
良かったらお読み下さい。
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その「こども映画教室」が2年前から助成金が交付されなくなり、活動の継続が難しくなっているそうで現在クラウドファンディングで活動費を募集しています。
このことを知った時、こりゃまずい!と思いました。
あんなに素晴らしい企画が継続の危機に瀕している。
長く生きてると世の中いろんな物が消えていくのに出くわします。
当たり前にあると思ったものがなくなるのをたくさん見ると「世の中そんなもんさ」
「サヨナラだけが人生さ」なんて気持ちになりつつある今年年男の中年男がここにいる。
しかし、しかしだ。
それじゃ負け犬だ。負けイノシシだ。
なくなるものはなくなるものとして「こども映画教室」はなくなって欲しくない。
東日本大震災の直後の三月末のあのわさわさした状況で金沢でこどもと一緒に映画を作ったあの三日間は僕の中では大切な思い出です。
思い出すとやさしい温かい気持ちになるのです(こんな俺でも)
この映画教室の方針は大人は介入せずにこどもの自主性に任せ映画を撮るというものです。
これがいいんだなと思います。
大人が介入するとこどもは大人に頼るし大人が介入したこども映画になってしまう。
それはそれなりのこども映画になるんだろうけど、僕が金沢で見たぶっとんだ自由なこども映画にはならない。
こどもの自由な絵が感動させるように、こどもの自由な映画だからこその感動があるのだ。と思います。
僕がこの映画教室を手伝ってからもう8年も経ってしまってあのこども達も随分大きくなっているのでしょう。その間にあの子たちが何を得て何を失ったか知る由もないけど、あの時あの年齢のこども達があの時でしか撮れない映画を撮った現場に立ち合えて良かった!と思います。
♪大人っていうのは〜もっと素敵なんだ〜
とかつてジャックスで早川義夫は歌いましたが、さっきから僕の頭では
♪こどもっていうのは〜もっと素敵なんだ〜
って脳内替え歌がずっとリフレインされながらこの文章を書いてます。
自分が映画を撮ってるからひいき目に見てるんじゃないのか?
と、もう一人の俺が言います。
でも、でもですよ。それを差し引いてもこれは素晴らしい企画だと思うんです。
だってこどもの絵を見て大人は感動するでしょう。こどもの映画も同じです。
そして思い出すのは撮影が始まると俄然いきいきとし始めたこども達。
学校に居場所がなくてこの映画教室が楽しみの子もいるそうです。
ともあれこんな「こども映画教室」にご賛同頂ければこちらのクラウドファンディングに
協力して頂けるとうれしいです。
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こどもたちの映画とに出会い
「こども映画教室」を開催したい!!
世知辛いこの世の中でいいことばかりはありゃしないけど、こんな企画があってもいいじゃないか!
と思います。
ご協力よろしくお願いします!
俺は55番だった。
西友の駐輪場の番号だ。
ツタヤにDVDを返しにいくのに自転車を止めた西友の駐輪場。前は無料で止められたけれど、今は最初の1時間だけが無料でその後は2時間ごとぐらいに100円がかかるようなそんな駐輪場。
大方埋まってる駐輪場で見つけた空きスペースが55番だった。
55番に自転車を止める。で、隣の56番の自転車の籠に目が止まる。そこには1リットルの紙パックのコーヒーが放置されている。
良く見る雪印のコーヒー。
コーヒーと書かれてるけどコーヒー牛乳なアレだ。
その雪印コーヒーにストローが刺さっていた。
本当にいるんだ。と思った。
1リットルの紙パックの飲料にストローを刺して飲む男がいるんだ。と思った。
常々謎だった。
コンビニで1リットルの紙パックの飲み物を買うと聞かれる「ストローはお付けしますか?」という問いかけを。
いつも憮然とした思いで聞いていた。
これをストローで飲むか?
飲まないだろ。
と内心思いつつ
「いらないです」
と答えていた。
聞いてる店員も
まぁそうでしょうね。
って感じだ。
仕方なく聞いている。
それが店のルール。
と思ってた。
けど56番だ。
56番の自転車の籠に厳然と存在する雪印コーヒー1リットルに刺さったストロー。
そういう人もいる。
そんな飲み方をする男もいるんだ。
世の中は多様だ。いろんな人がいる。
駐輪場からツタヤに向かいながらそう考えた。
そりゃコンビニの店員もストローを付けるかどうかを尋ねる訳だ。
ツタヤの返却ポストにDVD(「ふぞろいの林檎たちパート2」)を投函し銀行のATMに寄り駐輪場に戻った。
55番のボタンを押し精算のボタンを押す。
「精算の必要はございません」という機械の音声を聞きながら55番の自転車へと向かう。
56番の自転車は変わらず56番の自転車のままで籠にはストローが刺さった雪印コーヒー1リットルが存在している。
何だかふてぶてしくも見えてくる。
大体がさつな奴だ。56番の自転車に乗る男はきっとだらしのないがさつな奴だよ。55番の自転車の俺は勝手にそう思いながら自分の自転車を引っぱり出した。
でもよ。
ふと思う。
56番の自転車の持ち主を勝手に男だって想像してたけど意外に女かもしれない。
雪印コーヒー1リットルストロー付きを飲む女。
確率としては低いが全くありえない話ではない。
そう言えば大学の時、同じゼミの女の子がある日デカビタを持って授業に現れたことがあった。まだデカビタが発売されて間もない頃だったと思うけど、デカビタとその女の子のギャップに驚いた。
そんな記憶が蘇る。
あの女の子はどうしてるんだろう?卒業以来全く会っていない。
「♪幸せならいい〜け〜ど」
永ちゃんのメロディーが脳裏に浮かぶが、かといってその女の子とどうのこうのあったわけではない。
いやまてよ。
この可能性もあるぞ。
自転車をこぎながら考えた。
56番の男(女?)は雪印コーヒー1リットルなんて飲んでいなかった!
あの雪印コーヒーは57番から移動してきたのかも。
57番の自転車の男(女?)が自分の飲み終えた雪印コーヒーを隣の56番の籠に入れたのだとしたら。
そんなことをする奴がいる。他人の自転車の籠を勝手にゴミ箱にする輩がいる。自分の自転車にも過去に何度かされた。
一緒に助監督をやってた仲間が飲み終えた缶ジュースを普通に通りすがりの自転車の籠に入れてびっくりして注意したこともあった。
だから思う。
56番の男(女?)はひょっとして57番の犠牲者かも。
いや、ちょっと待て。
自転車をこぎながら更に思う。
もし、もしもだ。
俺があのタイミングで駐輪場に戻っていなかったら。
こんな場面を想像する。
俺が55番に自転車を止めツタヤに行き銀行のATMに行った後にもしカレーの匂いに誘われついつい西友の隣のココ壱番でカレーを食べていたのならば。
俺が呑気にカレーを食べてるちょうどその頃、駐輪場に戻って来た56番の男は自分の自転車の籠に入れられた見知らぬ雪印コーヒーを見て怒りを憶えそのコーヒーを55番の籠に移動させる。そしてカレーを食べ終え満腹の俺は駐輪場に戻り自分の自転車の籠に鎮座する雪印コーヒーを目撃し愕然とする。
そんなことは無かった過去だ。
が、ありえたかもしれない過去だ。
もしそうなってた場合俺は54番の男もしくは女から55番の自転車の人って雪印コーヒー1リットルをストローで飲むんだって思われるかもしれない男だ。
何てこった。
俺は55番の男だったが56番の男になってたかもしれないのだ。
自転車をこぎながらそんな可能性を考える。
もし、そうなってた場合俺は紙パックのコーヒーをどうしたか?
他の人の自転車の籠に入れるのか?
それはしない。そんなことはしたくない。まず考えるのは近くのゴミ箱に捨てることだ。でも、そんな近くにゴミ箱は都合良くない。どこならある?駐輪場から家へ向かう途中にある公園ならゴミ箱があるかもしれない。あそこに捨てよう。まずはあの公園のゴミ箱へと向かおう。
でも公園にゴミ箱がなかったら?
その場合はもう家に持って帰って家のゴミ箱に捨てるのだろう。
そう思いながら自転車をこぐ俺の自転車の籠には何も入ってないけれど、ひとつ間違えればその籠には雪印紙パックコーヒー1リットルストロー付きが入っていたかもしれない。
そしてその光景を目撃されたら、その目撃者には俺は雪印紙パックコーヒー1リットルをストローで飲む男だ。そんな中年男だ。
いや数ヶ月前に聞いた話だ。久しぶりに会った若い女優の子は俺の家の割と近所に住んでいて、その子のお母さんが何度か俺を目撃してるとのことだった。車を運転中に俺が呑気に歩いてる様子を何度か見てると言っていた。
本当に俺なのか?似た別の人じゃないのか?
そう尋ねる俺に「郵便局みたいなカバンを肩からかけて宮田さんが歩いてたってお母さんが言ってた」とその子が答えるのでグーの音も出ない。(グーの音って何だ?)
それは間違いなく俺だ。俺は郵便局みたいなバッグを持ってる。ある時姉から赤い布地に郵便局の白い〒マークが入ってる郵便局みたいなバッグをプレゼントされ気に入って持ち歩いていた。
そんなバッグはなかなかない。
お母さんが目撃したのは間違いなく俺だ。
さて問題は雪印紙パックコーヒー1リットルストロー付きだ。
もしそれを自転車の籠に乗せてる時にまたもやあのお母さんが車からこっそり俺を(こっそりじゃないけど)目撃していたら。そんなことがあったとしたならば。
お母さんは興奮し(別に興奮はしないか)その晩娘が帰宅するやいなや今日の目撃を語る。
宮田さんは雪印紙パックコーヒー1リットルストロー付きを籠に乗せて自転車をこいでいた。
何ならストローで飲みながら自転車をこいでいたよ。
って脚色をするかもしれない。
人の口は止められない。むろんお母さんの口も。
そうするともはやその子の家では俺は雪印紙パックコーヒー1リットルをストローで飲む男だ。
そんな中年男だ。
それはいいことではないだろう。いや、いい要素もあるか?
いや、あまりないと思う。
俺の目指すべきナイスミドル(目指してたのか?)とは程遠い姿だ。
世の中はいい誤解と悪い誤解しかない。
と言っていたのは立川談志だ。
あの日あの時見たあれや聞いたあれが実は誤解で、でもそれが誤解かどうかなんて分からなくて勘違いしたままそのままその後の人生を送る。
そんなことがあるやも、いやあるんだろう。
そんなことを55番の男は考えた。
ただあのお母さんには雪印紙パックコーヒー1リットルストロー付きを自転車の籠に乗せてる時に目撃されたくなかった。
どうせ目撃されるなら自転車の籠に入ってるのが別の何かそうそれなりの値段のワインかシャンペンか何かが入ってる時に目撃されたかった。そっちの方がかっこいい。
それが悔やまれてならない。
いや、ならない。
遅ればせながらご報告です。既にご存知の方すみません。
「あまっちょろいラブソング」TSUTAYA TVで動画配信中です。
今やそんな時代のようです。移転した吉祥寺のTSUTAYAは小さくなっていて何とも言えない気持ちになりました。
まぁテレビを買えばそれで動画配信のサイトが見られる時代ですからね。
そんな時代ですがこの前ラジカセを新しく買いました。これでカセットがまた聞ける。
カセットはいい。とは言えSDカードも聞けるそれなりに新しいラジカセなんですけど。
ラジカセの話はともかく配信動画です。
まだ僕も見てませんがこれから見てみます。
↑ これで。
冨樫監督が舞台を初演出します。
一体どんなことになってるか楽しみです。
大学生の青春もののようです。
春です。はじまりの季節です。
うちの甥っ子もこの春から大学生になります。
こないだ会いました。
あの頃の自分を思い出しました。
何かいろんな事が始まる気がして希望でいっぱいだったような気がします。
そうじゃなかったかもしれないけどそういうことにしとこう!思い出は美化だ!
美化!
バカだった。今もバカだけどあの頃は更にバカだった。
なんてことを舞台見ながら思うんじゃないかななんて予感がします。
て、まとめてみたりして。
でも、そんなこと思い出したりしながら見るのも舞台のIKKO!どんだけー!いや一興!
て、女子大生の話なんですけどね。
以後、詳細です。
ひとつよろしくお願いします。
2016/04/07(木) ~ 2016/04/10(日)
会場
明石スタジオ
出演 堀春菜、後東ようこ、真下玲奈、内山由香莉、根矢涼香、大田恵里圭、渡辺樹里、黒田有彩、池田詩穂
脚本 オノマリコ
演出 冨樫森
料金 3,500円 ~ 3,700円
【発売日】2016/01/20
前売¥3500-
当日¥3700-
サイト
http://eiga24ku.jp/news/2016/01/post-103.html
※正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。
タイムテーブル 4月7日 (木)19:00
4月8日 (金)14:00/19:00
4月9日 (土)13:00/18:00
4月10日(日)12:00<※追加公演決定!>
4月10日(日)16:30<※前売完売>
ご好評につき、追加公演(4月10日12:00上演)決定いたしました。
ご予約お待ちしております!
説明 映画24区による若い才能を集結して映画監督と臨む意欲作。第1回目は注目の若手作家・オノマリコの詩的で瑞々しい筆致が冴える『解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話』を選出しました。作家の体験を元に、とある大学の女子学生たちの入学から、象徴的な出来事としての“旧体育館の解体”、そして卒業までを、時に時空間をリープしながらも登場人物たちの生き生きとしたリアリティをもって描きます。
演出を務めるのは映画『ごめん』『あの空をおぼえてる』『おしん』など若手の演出に定評のある映画監督の冨樫森が舞台演出としては初の挑戦となります。約200名の応募者が集まったオーディションから今後の映画界・演劇界を担う女優9人を選出しました。
その他の注意事項など
スタッフ 舞台監督:今泉馨
美術:佐藤あやの
照明:加藤学
音響:水野裕
衣裳:宮本茉莉(STAN-S)
メイク:金森恵
振付:入手杏奈
演出助手:藤井三千
制作:小崎愛美理(フロアトポロジー)
宣伝美術:矢島拓巳・林啓太
プロデューサー 三谷一夫・中台あきお
協力:PHaT PHOTO写真教室
企画・制作:映画24区
今日は朝から落ち着かなかった。
チャボのサイン会に行くからだ。
チャボのDVDを買ったらサイン会の参加券をもらったのだ。
で、朝から落ち着かず早起きしてしまって風呂に入って入念に体を洗ったりした。
デートするんじゃないのに。
でも、だってチャボだぜ。
チャボは誕生日も一緒だし勝手に親近感を持っている。
チャボと同じ誕生日に生まれたことは実はとてもうれしい。
で、そわそわしながら身支度を整え部屋を出た。
駅へと向かってしばらく歩いて気づいた。
携帯忘れた。
時間的にはまだ間に合うので取りに戻る。
やっぱりどこか落ち着かない変な心持ちだったので忘れ物をしてしまったようだ。
で忘れた携帯をポッケに入れて再び駅へと向かった。
アパートから歩いて最初の角を曲がってすぐ「すいませーん」と呼ばれた。
どうやら僕を呼んでるらしい。
声の方を見やれば品のいい70代後半くらいのおばあさんがガレージの中から僕を呼んでいる。
このおばあさんには見覚えがある。よく近所を黒い年老いたラブラドールレトリバーを連れてゆっくりと散歩している。最近は見かけないけど。
そのおばあさんがガレージの中から僕に言う。
「お急ぎのところすいませんがサイドブレーキ戻してもらえますか?」
サイドブレーキを戻す?
俺が?
こんなことを言われたのは生まれて初めてだ。
戻せないのかサイドブレーキ?
よく分からないままガレージに入り車に近づき助手席のドアを開ける。
「固くて戻せないんです」
意外なことにマニュアル車だ。
はぁと曖昧に返事をしてサイドブレーキを戻した。
ちょっと固かったけどサイドブレーキは戻せた。
と車はスーッと前進したので慌ててもう一度サイドブレーキを引いた。
ガレージの中が少し傾斜になってるようだ。
一度戻したサイドブレーキをまた引いてしまった。
「え、どうしましょう?」
どうすればいいのか?これじゃ元の木阿弥。
しかしおばあさんは冷静だ。
「ゆるめに戻しといて下さい」
なるほど。
言われた通りサイドブレーキを引きゆるめに戻す。
車は動かない。これでいいのか。
「すいません。今、家に私しかいなくて」
「いへいへうちの実家も似たようなもんですから」
と答えもう少しこのおばあさんと話をしたい気もあった。今でもマニュアルを運転してること最近見かけない黒いレトリバーのことも聞いてみたい気もあったけど、話が長くなりそうでそれじゃチャボのサイン会に遅れてしまうぞ俺、てことでガレージを後にした。
歩きながら携帯の時間を見ると結構ギリギリだ。歩く速度を早める。
で少し歩き気になって後ろを振り向けばガレージから路上に車は出ていた。
良かった。
歩きながら思った。
サイドブレーキを戻してと頼まれるなんてことあるんだな。こんなこと初めてだ。んなことあるんだな。
翻ってうちのおふくろはどうなんだ。サイドブレーキを戻せないことがあるのか?いやおふくろが今乗ってる車は足で踏むタイプのサイドブレーキだったような確か。だから足で踏むサイドブレーキが最近の車には多いのか?
なんて思いながら駅へと向かい電車に乗ってサイン会に向かった。無事に間に合いチャボにサインをもらった。
チャボにおばあさんのサイドブレーキを引いててサイン会に遅れそうだったと話した。
なんて。
そんな心の余裕はなくひたすら緊張しながらサインをもらったのだった。
やったぜ!
サインをもらってしてもしばらく胸がドキドキしてたのだった。
とさ。
第37回ヨコハマ映画祭4冠!(ベストテン第9位)、主演男優賞(渋川清彦)、助演男優賞(光石研)、助演女優賞(河井青葉)、脚本賞(足立紳)を記念して新宿シネマートで1/31(日)~2/5(金) 1日1回上映されます。
素晴らしい!
見逃した方、もう一度見たい方、良かったらこの機会にご覧下さい!
初日31日には上映終了後トークショーもございます。
■日程:1月31日(日)
□時間:13:50の回(上映終了後トークショー)
□場所:シネマート新宿・スクリーン1(333席)
◆登壇者(予定):渋川清彦、河井青葉、後藤ユウミ、大崎章監督、足立紳(脚本家)
□料金:通常料金 ※特別鑑賞券もご利用いただけます。
□内容:上映&トーク
■全席指定席
□販売日程:1月29日(金)より劇場窓口、オンラインともに販売開始!
今日8/8(土)よりおなじみ名古屋シネマテークで「お盆の弟」上映始まります。
8/8〜21まで上映。8〜14が11時と20時15分、15〜21が15時10分の上映です。
本日初日8日は11時の回の上映に大崎章監督登壇します!
僕も少し映画に出てます。名古屋の皆さんぜひお越し下さい!
まもなく今週末7月25日から新宿K’sシネマで大崎章監督の「お盆の弟」公開始まります。シナリオは「百円の恋」の足立紳さんです。そして主演は「バカバカンス」にも出てくれたおなじみ渋川清彦先生です。
この映画は去年の夏に大崎さんの地元の群馬県の玉村町を舞台に撮影されました。奥さんと子どもと別居中の売れない映画監督のお話です。身につまされる映画なんです。
大崎さんは助監督出身です。僕も一度一緒に仕事しました。プロデューサーに怒って自分のかけてた眼鏡を床に叩きつけた大崎さん。これは考えてみるに、かつらの人が自分のかつらを投げつけるみたいなもんじゃないかと思ったのはしばらくたってからのことで、その時はただただ啞然としました。
こんなこともありました。大崎さんと二人で井の頭公園の食堂でごはんを食べてた時のこと、天気も良く表に出てたテーブルで食べてると、なぜか大崎さんの食べてるそばのどんぶりにドンピシャリで枝が落っこちてきて大崎さんは大きな声を出して(いつだって大崎さんの声は大きいですが、この時は殊更大きな声で)驚いたのでした。いわゆる”もってる”人なんじゃないかと思いました。
そんな大崎さん(どんな?)がデビュー作「キャッチボール屋」以来久しぶりに撮ったのがこの「お盆の弟」です。
まだこの映画の撮影をどうするかって話を最初に聞いたのが一昨年の春ぐらい。阿佐ヶ谷の居酒屋でした。
夏の映画です。なんせ「お盆の弟」です。結局その年の夏の撮影は見送り、その後地元の皆さんの協力を得て
無事去年の夏に撮影されたのでした。僕もちょっと出演しました。緊張しました。現場での大崎さんはとっても元気でいきいきとしてましたよ、そりゃ。で、映画は完成し、シナリオの足立さんが書いた「百円の恋」もヒットして。渋川清彦出演作品も目白押しの何だか盛り上がってる中このタイミングの上映です。いい感じです!たくさんの人に見てもらえたらうれしいです。
上映に際しては映画業界の人救済割引、兄弟姉妹写真割引もあるそうです。
★映画人救済割引
自分の名前が載っている台本と自身を証明出来るものを持ってきた方1000円!
★兄弟・姉妹写真割引
兄弟や姉妹(兄妹、姉弟や3人以上も可)で写っている写真を持ってきた方、写真の人数分ひとり1000円!
※写真はプリントしたものをお持ちください。上映前にお借りしてコピーし、劇場内に展示させて頂きます。写真は上映後にお返しします。
とのことです。
で、上映中はたくさんイベントあります。
詳しくはホームページ等をご参照下さい。
僕もイベントに出ます。前作「あまっちょろいラブソング」の主演下石奈緒美さんと一緒に出ます。大崎さんには下石さんの活動休止中のバンドappledoreの「真空時間」という曲の短編映画を撮った時に出演してもらったのでこんなことになりました。
【日時】8/5(水) 18:45の回上映終了後
【ゲスト(予定)】
下石奈緒美さん(ソングライター) 宮田宗吉(映画監督)大崎章監督
東京以外では近々に群馬県のシネマテークたかさきで8月1日から、名古屋の名古屋シネマテークで8月8日から
とまずは日本が誇るWシネマテークで公開始まります。その後全国順次公開されますのでよろしくお願い致します!
「あいつ男三人手玉に取って」「男も気がつかないのかね」なんて女子大生風二人組の女の子がにぎやかに話してるのを自転車で追い越しながら聞いた。自転車をこぎながら「男三人手玉に取る」女の子と「手玉に取られる」三人の男たちに思いをはせた。はせながらこいだよ自転車を。そして思った。「四人目にどですか俺?」なんて。
それならそれでいい。かも。
もともと振り回されたい傾向があるみたいだし。
けど、そんなのはごめんだ。心おだやかに暮らしてみたいものだ。とも思う。思った。
で、ガストについた。(ガストに向かう途中だったのだ)
ガストに入り、ビールを飲んでハンバーグを食べた。
で、また「手玉取り」女の子に思いをはせた。はせてハンバーグを食べてビールを飲んだ。
どんな女の子なんだ?
目の前を店員の女の子が横切った。
僕の注文を取った女の子だ。
20くらいの色白でちょっとハーフっぽいなかなか可愛らしい女の子だ。
この子か?この子はどうか?この子は取るかな手玉?
取らないな。取らないこの子は。
わからないけど。
でも基本的にまじめそうでいちずな感じ。
だから違う。
けど、待てよ。そんな子が意外に取るのかも手玉。
どうなんだ?
わからない。わからないことはわからない。
棚上げだ。ひとまずこの問題は棚上げだ。
店員の女の子はもう一人いる。てか、二人しかいない。
店の大きさ的にはもう一人くらい店員が居た方がいい気もするけど、二人でこのガストを回している。
ガストはガストな事情があるのだろう。
単純にもう一人バイトの子が休んじゃったのかもしれないけど。
それはともかく。
もう一人の女の子の店員だ。
この子はないな。取らないな手玉。
て、失礼だけど、いや、手玉に取らないように見えるのだから失礼じゃないのか。
22、3くらいで長い黒髪をくくった真面目そうな女の子だ。ちょっと地味めで、同級生でいても卒業したら思い出せないタイプか。
なんて勝手に思って。
けど、待てよ。実はこんな子こそ意外に、そう、意外に男が三人いるのかも。
だって考えてもみろ俺。エッチそうな子は意外にエッチじゃなくて真面目そうな子の方がエッチだったりするじゃないか。
いや、どうなんだ、この例えは?
なんか自分を大きく見せて筆が滑った気がする。
て、滑ってないけど筆。(こういう言い回しよくするな俺)
滑る筆、の代わりになる言葉は何か?
叩き過ぎるキーボード。
何か違う。
それじゃ「ゲームセンター嵐」みたいだ。
て、この例えもどうなんだ2015年のこんな世の中で。
もっと的確な例えがあるはずだ。
滑る筆、に代わる何かが。
・・・・
棚上げだ。
これも棚上げにしよう。そして本題に戻ろう。
ガストに戻ろう。
店員の女の子の手玉に戻ろうじゃないか。
改めて店員の女の子を見る。
ん?女の子がおばさんになっている!
おかしい。なぜ?
テーブルの上のメニューの表記を見る。
デ二ーズ・・
間違えてデニーズに戻ってた!
いけね!
て書いてみようと数分前に思い、これはいいアイデアだ!と思い、で、書いた。
果たしてどうなのか?
デニーズかバーミヤンかで迷った、実は。バーミヤンはガストと同じ系列みたいだから、バーミヤンにしようかと思ったけど、
いきなり中華も違うかと思い直し、デニーズにしてみた。
いかがでしょう?
いかがでしょう?じゃない。
もう、この時点で読むのをやめる人もいるだろう。
このバスを途中下車する人もいることだろう。
なんて賢明な乗客なんだ。
けど、こりずにまだこのバスに乗ってくれてる人がいるかもしれない。
いるのか?バックミラーを見かけて・やめた(そう、あたかもダイヤル回して手を止めるように。古き良き時代の話だ。)
てか、いつのまにかバスを運転している俺。
バスを運転したことはないけど何とか頑張るよ。
後ろに乗客がいるのか気にしないで、ひとまずスタートだ。
で、戻って来た。
おっかなびっくりバスを走らせガストの前にと到着だ。
席に戻り店員の女の子二人を見比べる。
時間がたつと、地味めの女の子の方がかえって逆に「三人手玉に取ってる」かもと思えてきた。
うちに秘めたパッションというか、もう一人の可愛いタイプの子の方が男にゃもてるかもしれないけど。
でも一人彼がいればいいです。それで十分ですあたし。てな感じがしてきた。
それに引き換えもう一人の地味めの店員さんだ。
あんまりもてなかった。けど、ようやく彼が出来た。でも自分に自信がない。こんな私を本当に愛してくれるのだろうか?
不安だ。不安な日々。恋をするってきっと素晴らしいって思ってたけど、何なのこれは!恋って苦しいんだねって気づいた20の夏。
新しく入って来たバイト(むろんガストのだよ)の男の子に告白された。こんな私を。なんであたしなの?亜衣ちゃんの方が全然可愛いのに!(亜衣ちゃんというのは件の色白の店員のこと。ここに来て命名してみた)
そんなこんなで桂子は(桂子にしました)新しいバイトの男の子ともつきあうようになり、更に大学のクラブの先輩の松井さんに酔った勢いで強引に連れてかれた相席酒場で知り合った29のサラリーマンとも会うようになったのだ。
なったのだ。って、なってないけど。
ガストでビールを飲みハンバーグを食べながら、そんなことを考える男が一人。
それもこれも、もともとは「三人手玉に取る」女の子のせいだ。
その子のことを考えてるうちにこんな有り様だ。
そいつのせいだ。
これじゃ手玉に取られる四人目の男になってるじゃないか俺は。
なんて考えた。ビールがなくなったので迷ったけどおかわりした。
ふわふわと酔いながら改めて店内を見回す。今度はお客の女の子を見ながら考える。あの子は取るのか手玉?この子はどうか?
新しいビールを持ってきてくれたのはめがねをかけた新しい女の子の店員。
ん?もう一人いたのか?
ぼんやりしてて気づかなかった。
この子はどうか?取るのか手玉?
もはや慣例になっている。
どうかな?いや、しかしあのめがねの女の子は桂子に似てるな(ええ命名した桂子です)
めがねの子を目で追う。やっぱり、あの子は新しい女の子じゃなくて桂子じゃないのか?
でも確信が持てない。桂子が急にめがねをかけたのか?それとも桂子に似た新たなめがね店員なのか?
どうなんだ?こうも考えた。普段コンタクトだけど家に帰るとめがねに変える子がいる。それか。それなのか?
まだ家に帰ってないけど、何らかの事情でコンタクトからめがねに変えたのか桂子?
しかし新たなめがね店員である可能性も消せない。
亜衣ちゃん(もう一人の店員ね)も忙しく働いている。日も落ちて来て客も増えて来た。
と、また桂子が現れた。めがねをかけてない。
ああ、てことはやっぱり桂子と亜衣ちゃんの他にめがね店員が新たに現れたんだな。夜からのシフトで、この混み合い始めた
ガストの救世主となるべく現れたのがめがねちゃんだ。
これで合点がいく。
はずだった。
が、違った。
また、めがねちゃんが登場する。今度は凝視する。似てる。にしても桂子に似てる。やっぱりあれは桂子じゃないのか?
てことは、桂子はめがねをかけたり外したりしてるのか?
なぜ?
そんなことする理由はなぜ?
すっかり桂子のことで夢中だ。桂子しか目に入らなくなって来た。(ごめんね亜衣ちゃん)
なんでそんなことするんだ桂子?
さすが三人を手玉に取る女。
もうすっかり四人目の男さ俺は。
けど、待て俺。
そんなにめがねをかけたり外したりするものかね?
やはり新たなめがねちゃん店員がいるんじゃないか。
どうなんだ?
いっそ聞いてみようか。
桂子を呼び止め
「すいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど、めがねかけたり外したりしてませんか?』
そうすりゃ早い。
早いけど。な。
この混み合い始めたガストの中でわざわざ桂子を呼び止めそんなことを聞く勇気はなかった。
いくじがないんだ俺。
で、考えた。
ほぼ桂子とめがねちゃんは同一人物であることと思われるけどさ、桂子とめがねちゃんが別人という可能性もないわけじゃない。
それを証明するにはたったひとつの方法がある。
それは桂子とめがねちゃんが一緒にいる現場を目撃することだ。
それだ。それが間違いない。
ビールを飲みながらじっとその瞬間を待った(ハンバーグはもう食べ終えた)
桂子をずっと目で追った。
忙しくよく働くな桂子は。亜衣ちゃんも頑張ってるぞ!
で、俺はしばし観察した。桂子とめがねちゃんと時々亜衣ちゃん、を。
二杯目のビールも空になった。
結局、桂子とめがねちゃんが一緒に現れる瞬間はなかった。
もはや桂子とめがねちゃんが同一人物であることは自明の理に思われる。
なぜか?なぜ桂子はめがねをかけたり外したりするのか?
俺には分からない。
けど、考えてみればこの世は分からないことだらけだ。
あの娘のことを知りたくってどんだけ言葉を重ねてもあの娘のことが分かるというのか?
あの娘がほんとのことだけを言うとも限らないし。
全ては謎だ。
自転車で追い抜かした女の子たちが話してた、そもそものこの話の発端である男を三人手玉に取る女の子が
どんな子であるか分からないし。
桂子が何でそんなにめがねをかけたり外したりするかも分からない。
それでいい。
そんなもんだよ。世の中分からないことだらけだ。
空になったビールのジョッキを見つめながらハイボールをおかわりしようか、どうしようかって一瞬思ったけどやめた。
わからないことはわからないままでガストを出る事にしよう。傍らに置いた制帽に手を伸ばす。(そう俺はバスの運転手)
ハンバーグとビール二杯と豆腐サラダのレシートを手に取り(今まで内緒にしてたけど実は豆腐サラダも食べてた)レジに向かった。
果たしてレジに現れたのは桂子。俺は桂子にレシートとTポイントカードを差し出した(だって、ここはガスト!)
レジで会計を進める桂子。
その刹那(刹那?)俺は口を開いた。
思い切って聞いたよ。頭の片隅には数少ない乗客の姿も去来したさ。
桂子に言った。
「すいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど、めがねかけたり外したりしてませんか?」
桂子はけげんそうにこっちを見るよ。
俺はあせって「いや、あれ店員さんもう一人いるのかなって。でも似てるし」
酔った勢いだ。酔った勢いもあって聞いてる俺の顔はきっと少し赤らんでいるだろう。
でも、桂子は優しい。
「いや、お客さんの席の番号のランプが見えないんです」と、ランプの掲示を指差した。
振り返り桂子が指し示す番号ランプを見た。
ファミレスにそんなものがあるとは知っていた。けど、すっかり忘れていた。
真相はこんなもんだ。
俺の頭を悩ませた桂子のめがねは客の番号ランプを認識するためにその役割をはたしていたのだった。
あっけない結末。
この真相を聞き出す意味はあったのか?
わからないことはわからないままでいても良かったんじゃないか。
桂子との会話もそれきりだった。こんな会話を交わしたからといって俺と桂子の間にどこか親密な空気が生まれるということもなく、
桂子からもうすぐ使えるクーポンをもらいガストを後にした。
むしろ少し気まずい雰囲気のまま桂子に見送られドアを開けた。
表に出れば空気はもう夏の夜のそれで、制帽を被った俺はバスを見下ろした。
果たしてバスは無かった。
だって乗って来てないもん。
俺は乗って来た自転車にまたがり家路をいそいだ。
いや、いそいでない。
家路という言葉に勝手に「いそいで」がついて来た。
いそがない家路を自転車こぎながら、もともとのこの話の発端の「男三人手玉に取る女」話を聞いたファミマの前を
通り過ぎ、桂子に投げかけた質問を思い返した。
その質問で桂子のめがねの真相はわかったけど、だからどうなんだ。って改めて思った。
まぁ、でもせっかくの質問だ。酔った勢いもあったけど勇気を出して発したこの言葉にまつわるあれこれを
久しぶりにブログに書いてみようか、なんて思いながらいそがない家路を自転車こいだ。
で、書いた。
そんな次第です。
あのガストには少し行きづらくなった。
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